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園児虐待保育園の事件 —― 「同調圧力」が掛かった事案 / アイデンティティの確立を目指す教育が必要

「今日は、「同調圧力」ということを話題にしたいと思います」

女性

「そのドウチョウ何とかの意味を教えて下さい」

「心理学用語ですが、その場にいる人に対して多数意見に合わせるように目に見えないプレッシャーをかけることです」

女性

「私の職場でもありますよ。たまに「空気を読まなきゃあダメよ」と言われることがありますものね」

「日本は農耕民族の国なので、周りに合わせるのが美徳というのが染みついているので余計だと思います」

女性

「それはそれとして分かりましたが、敢えて「同調圧力」を話題にする理由は?」

「裾野市の保育園の事件で女性保育士3人が逮捕されましたよね。あの事件内容を聞いた時にその言葉が浮かんだのです」

女性

「どういうふうに同調したのだと思ったのですか?」

「30代後半の女性2人と30代前半の女性1人の計3人が逮捕されたのですが、虐待的な行為を率先して行った人が一人いて、それが周りの二人に同調圧力として働いたと見ています」

女性

「どうして止めようとした人が現われなかったのか、不思議なんですけど……。3人いれば誰か一人位、「それマズいんじゃあないの」と言う人がいても良いのに、グルになってやっていたということでしょ」

「フラットな人間関係であれば、そういった期待がもてますが、3人の中のリーダー的な存在者の行為は同調圧力として他の2人に掛かってしまったと思っています」

女性

「そして、結果的に3人で虐待行為を繰り返したということですね」

「多分、途中から虐待という意識が麻痺していたと思います。そして、それが継続されていくと、虐待がノーマルとなり、日常化されてしまいます。多分、そこまでいっていたということでしょうね」

女性

「どうすれば、止められたのですか?」

「園の管理者が適切に処理するしかなかったのですが、全く真逆の対応をしてしまったようですね」

女性

「ここから本論です ↓ 表題写真は静岡朝日テレビ提供です」

 「同調」は人間が本能的にもっているもの

同調するというのは、実は動物が本能的にもっているものです。鳥も動物も多くは群れをなして行動します。天敵に対して集団で立ち向かうことができるからです。種を守るための本能みたいなものです。

人間にもそういう本能的なものが備わっているのかという問題意識のもと、実験をした人がいました。ドイツの進化生物学研究所のダニエル・ホーンです。2才の幼児3人にボールを渡して、いくつか箱を用意します。特に何も指示をしません。そのうち誰かがボールを箱の中に入れます。それを見て、他の2人も同じようにボールを箱の中に入れたそうです。

同じような実験をチンパンジーにも行ったそうですが、同じような結果が得られたそうです。そんなことから、人間も含めた霊長類には、集団としてまとまろうという心理的な気持ちが働くことが分かっています。その結果についてホーンは、集団の行動や規範から離れることは生存競争の社会では命の危険、さらには種の滅亡さえ招くことに繋がるので、そういった危険の回避プログラムが埋め込まれているのだろうと指摘しています。

(「ネルの練るより読書ログ」)

 「同調圧力」は農耕民族である日本人により強くかかる傾向

「同調圧力」というのは、日本人だけに限らず、すべての人類が背負っている本能的圧力ですが、農耕民族である日本の先人たちの歴史的歩みを考えると、他国の人たちよりも強いバイアスが掛かることが予想されます。

「同調圧力」は本能的要素が強いものなので、幼児期はもちろん比較的年齢が若い段階に影響を受けやすいものです。集団で暴走行為をする、集団で万引きをする、徒党を組んで威圧的な行為や違法行為をするのは若い人達が多いのは、そのためです。年齢を重ねていくと、自分なりの判断力が出てきますので例え圧力がかかっても単独行動することが出来るようになります。ただ、それはあくまでも一般論です。

(「いらすとや」)

 「同調圧力」があってもアイデンティティが確立していれば大丈夫

先程紹介したホーンですが、集団の行動が間違っている場合には行動を変えるかどうかも調べています。自分たちの行動が間違っていると認識していたとしても、基本的に集団に従うというのが分かったそうです

人間の場合は、そういう本能的な働きかけを理性の力によって変えることが出来る唯一の生き物ですが、結局は集団の圧力と自己の理性の力のせめぎ合いになります。圧力に屈すれば、集団的行動をいつまでも継続することになります。

同調圧力は英語で「peer pressure」と言います。「peer」は仲間という意味ですが、仲間の渦の中に入ってしまって心理的に抜け出せない、ただ、その渦の中に身を置いていると心地よさも感じるという複雑な状態です。そういった圧力状態から抜け出すためには、他者の力を借りるか、自分で生き方を定めるかの2つの途があります。

前者は分かると思いますので、後者について書きます。自分で生き方を定めるというのは、別の言葉で言えばアイデンティティの確立です。これができていれば、自分で悪しきことと認識した瞬間から、その集団から離脱することができます。アイデンティティの確立というのは、言葉を変えれば、自分の生き方、生きる方向の発見だからです。それを意識していれば、仮に運悪く渦に巻き込まれたとしても、方向違いとすぐに判断し、脱出することが期待できます。

文明が発達し、社会全体が裕福になれば犯罪は自然に減っていくだろうと言われたことがあります。しかし、データを見る限り、そうなっていません。むしろ逆になっています――「組織的万引きが急増――米国・ニューヨーク市」(「日経」2022.9.28日付)によりますと、「万引き増加はニューヨークだけでなく、全米の都市で問題視されつつある」そうです。その背景には、オンライン取引の拡大があるとのこと。要するに、盗った商品を電子商取引で売り飛ばしているとのこと。2020年の小売り商品の被害総額は約72万ドル(約1億円)とのことです。

オレオレ詐欺も組織的犯罪です。アイデンティティが確立されていない「浮き草」のような人間が多く輩出される現在の教育の在り方を見直さなければ、こういった犯罪が増えることになります。

(「ppt  download」)

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