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社会が変わる、大学が変わる / 企業もジョブ型雇用を導入して、即戦力を求め始めた

「大学全入時代と言われて、20年位経ちます」

女性

「大学乱立時代ともいわれています。文明が高度化すれば高学歴が進展するので仕方がないという人もいますが、どのように考えますか?」

「教育行政も国民の動向を考えて行わなければいけないということなのですが、この20年位は動向を読み間違えています」

女性

「ということは、途中まで良かったということですね」

「『平準化』というのが、戦後日本の大学改革の合言葉ですが、ヨーロッパの国が大学の設立を抑制したのに対して、日本は大学の数を増やしました」

女性

「そのため、『駅弁大学』とか『たこ足大学』と揶揄されましたよね」

「それでも1960年代から80年代にかけて進学希望者が急激に増えて、『学歴社会』とか『受験地獄』といった言葉も生まれます」

女性

「その頃は、つくっておいて良かったと思った頃ですよね」

「ただ、そのうち少子化が進行します。受験生も当然少なくなります。18歳人口、アバウトで言いますと、1990年の頃は約200万人、現在は120万人です」

女性

「すごい減り方ですね」

「なかなか対応するのが難しいくらいの減り方だと思います」

女性

「そういうこともあって、私立大学の4割が赤字経営と言われているのですね。他の国はどうなんですか?」

「ヨーロッパの国は、ドイツにしろ、フランス、イギリスは戦後、新たな大学の設立や定員増を認めなかったのです」

女性

「だから、現在の日本で起きているような問題はないということですね」

「彼らは学問については、ある意味保守的だと思います。学問研究が大衆化してしまったら、それは学問ではなくなる怖れがあると考えたのだと思います」

女性

「クオリティを重視したということですね」

「日本はプラグマティズム的に対応したということです」

女性

「それで全入時代を迎えることになったのですね」

「まあ、そういうことですが、全入という言葉に誤解があるといけないので、一応注意的に言うと、入る大学・学部さえ選ばなければ、お金さえ出せば誰でも入学できる状況になったということです」

女性

「一部難関大学は、相変わらず難関なままということですね。ここからが本論です ↓」

 工業社会から知価社会へ

日本の社会が激しく変化しています。工業社会から知価社会に早いピッチで変化しようとしています。知価社会という言葉は、作家の堺屋太一氏の言葉ですが知恵や知識、あるいはデータを使って新たな価値を生み出す時代になってきました。

その社会の変化に合わせて、教育の在り方、もちろん大学教育の在り方も変えていく必要があります

日本の近代教育は、明治の学制発布(1872年)を機にスタートしていますが、その出発点において欧米の先進諸国に追いつくためにはどうすれば良いかという問題意識があったのです。出した結論が、単線型の学校制度です。余程急いでいたのでしょう。「小」「中」「高」「大」という味もそっけもない単純な意味の漢字を学校の頭につけただけのネーミングだったのです。

それはともかくとして、全国一律、一斉授業による知識伝達教育は、工業社会にとっての優秀な人材を効率的に育てる上では成功したと言えると思います。だから、高度経済成長を達成し、敗戦からわずか30年足らずで世界第二位の経済大国になったのですから。

 企業は「即戦力となる人材」を求め始めた

その栄光に胡坐をかいている暇はありません。世界は競争社会なので、休んでいるとあっという間に抜き去られてしまいます。平成の30年間は、日本停滞の30年でした。その間に中国に抜き去られています。油断大敵なのです。

今までは、自主性とか個性といったことは重視されませんでした。そういうものを育てるという考え方は、日本の教育界は殆どもっていなかったと思います。それは、検定教科書制度、校則や制服、生活指導の内容を見れば分かると思います。とにかく、学校に関係のないことは考えないし、関係のないものは持ってくるなという指導をして、児童・生徒には一つのレールを脇目をふらず真っすぐに走ることを求めてきたのです。

大学も企業もそういった人材を求めてきたのです。ある程度の能力さえあれば、後は入社後の教育制度によって一人前の社員として成長させることができるという自負もあったのだと思います

ところが、2010年位頃から、その様相が少しずつ変化し始め、現在ではその変化が誰の目にも分かるようになってきたのです

企業も「即戦力となる人材」を求め始めたのです。これには2つの事情が絡んでいると思います。大学が全入状態となり、大学生の質的低下が広範囲にわたって起きていること。そして、企業間競争が激しくなっており、新卒をじっくり育てる余裕がなくなってきつつあるということです。

 新たな可能性を求めて現実に動き始めた大学もある

そういった社会の変化に対応して、動き始めた大学もあります。『朝日』(2020.12.12日付)の「変わる進学 大学入試新時代へ」の記事を紹介します。

日本初だそうですが、武蔵野大学が「アントレプレナーシップ学科(定員/60名)」を来春から立ち上げるそうですアントレプレナーシップは起業家精神と訳されるとのこと、日本人に弱いところなので、それを総合的に学んでもらおうということだそうです。

「1年次は全員が寮で生活し、起業家らによるセミナーやワークショップを受け、プロジェクトに取り組む。2年次は全員、海外での短期研修プログラムに参加し、海外のスタートアップ企業を訪問。3年次で実際に起業する」(『朝日』同上)とのことです。

また、『日経』は「コロナ禍 産学で革新」(2020.11.30日付)と題して京大、大阪大、神戸大の3大学シンポジウムの様子を報道しました。やはりその中で、シスメックスの家次氏が「様々な知見を持つ人を引き入れ、ダイバーシティ(多様性)を実現しないとグローバル競争に勝てない。大学は新しいことにチャレンジできる人材を送り出して欲しい」と言っています。

京都大学は独自の助成制度(総額1.15億円)を創設して、社会貢献を目指すとのこと神戸大学は地元金融機関と連携し、大学のもっている技術を提供するなど取引先企業と協力するべく、来年の4月には「産官学連携本部」を発足するとのこと。

このように、従来の大学の殻を破って、新たな方向へ動き始めた大学もあります時代が急速に変わりつつあります。「変化できるものが生き残ることができる」(ダーウィン)のです。潮の流れを見極めて下さい

読んでいただき、ありがとうございました。

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