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G7の中でロシアに最も近い隣国は日本――それを自覚する必要あり / 日本の安全神話は過去のこと

女性

「ウクライナのメリトポリの市長が武装した一団に連れ去られたとのこと。その理由にについて、ロシアの支援を受けたルガンスクの地方検察は彼がテロ行為を遂行したので取り調べていると発表しました」

「ウクライナの外務省は、今回の行為を「拉致」と表現し、戦争犯罪であり、人道に対する罪としています」

女性

「捕虜ということですか?」

「ジュネーブ条約によって捕虜として良いのは軍人なので、それ以外の民間人を外国の部隊が拘束するのは国際法違反です」

女性

「ただ、国際法違反と言っても、取り締まる所もなければ,裁くところもありませんよね」

「一応、国際裁判所がありますが、当事者同士が合意しなければ裁判ができないことになっています」

女性

「結局、力に任せてやってしまった方が得ということですよね」

「それが現状と言うか、国内法との大きな違いです。だから、ロシアに行く場合は、くれぐれも注意をする必要があると思います」

女性

「外務省はロシアへの渡航をレベル3(渡航中止勧告)まで引き上げました。経済制裁でカード決済が出来ないということからでしょうか」

「表向きはそうですが、戦局によっては日本人が巻き込まれることがあるからです」

女性

「巻き込みですか?」

「2019年に北方領土の色丹島をビザなし渡航で訪れていた通訳の女性がロシア当局に一時拘束されるという事件がありました」

女性

「どうして拘束されたのですか?」

「交流があったロシア人男性から日本に住む知人に渡して欲しいということで預かった荷物の中に、ロシアの重要施設が写った画像データ入りのSDカードが入っていたのです」

女性

「彼女が頼んだ訳ではないのでしょ?」

「もちろんそうですが、そのように人を陥れる策略を仕掛けられる可能性があります。ロシアや中国に渡航する際には、充分注意をする必要が特にこれからあると思います」

女性

「ここからが本論です ↓」

 政治的取引にするために国民を拘束する――強権国家の常とう手段

 

事態が国際間で緊迫してくると、それへの対抗措置としてその国の国民を拘束して、当該政府に対してプレッシャーをかけるということを強権国家は戦術として行うことがあります。2人の話題はロシアですが、実は中国にスパイ行為に関わったということで、2015年以降拘束された日本人が16人に上り、そのうち10人が起訴され、9人が懲役3~15年の実刑判決を受けています

国際的には属地主義が採用されていますので、日本人ということで裁かれるのではなく、その国の法を犯したということで取り調べ、現地法によって裁かれることになります。だから、日本人が国内にいるような感覚でいると、場合によっては厳しい法が待っているということも当然あるのです。

中国やロシアで注意することは、スパイ活動と麻薬関係です。中国ではスパイ活動や覚醒剤で検挙されると死刑もあります。泊まっていたホテルの部屋に誰かが密かに覚せい剤の粉末を置き、その後官憲が踏み込み、証拠として出てきたと言われることもあります。身に覚えがないと言っても、弁護活動が制限されていますので、そこから無実に持っていくのは殆ど無理です。スパイ活動と言われると自分には無縁と思う日本人が多いのですが、たまたま写したスナップ写真の背景に軍艦が写っていただけでもスパイ罪として摘発するお国柄です。

(「NEWSポストセブン」)

 G7の中でロシアに最も近い隣国は日本――それを自覚する必要あり

ロシアは日本の隣国であり、領土問題を抱え、平和条約も結ばれていません。現在は、ウクライナに対して侵攻していますが、この動きに対してヨーロッパ諸国は防備を固めるのは確実です。となると、ロシアが考えるのは東方ではないかと思います。北方領土は事実上ロシアの領土となっていますし、日本をバックアップしている米軍は怖いけれど、日本の自衛隊自体は大したことはないと思っていると思います。

  【 世界の軍事費 


(「沖縄タイムス」)

 

そして、今回のロシアのウクライナ侵攻によって、世界は完全に力が優先する社会になってしまいました。ロシアは国連の安全保障理事会の常任理事国です。本来は率先して世界平和のために活動する責務がある国ですが、領土的野望を前面に出してウクライナに全面侵略したのです。

日本の中には、ロシアは欧米に追い詰められたという論を展開する人もいます。つまり、NATOが拡大し、ロシアにとって脅威となったところにきて、国境を接するウクライナがNATOへの加盟の動きを見せたので、それを防ぐための侵攻だという捉え方です。

仮にそうだとするならば、ロシアは安全保障理事会の常任理事国なのですから、その立場を使ってNATOに対して「牽制球」を投げることも可能なのです。だから、NATOへの加盟への動きというのは、単なる侵攻の口実に過ぎないのです。

 世界のマネーの流れから分析する――日本の安全神話は過去のこと

ウクライナへの軍事侵攻の後、世界のマネーがどう動いたのかを見てみました。なぜ、そのようなことをするのかということですが、世界の金融界には「有事の日本買い」という言葉があり、それが今回もそうなのかを検証してみたいということです。「有事の日本買い」の例を一つだけ挙げると、リーマンショックがあります。2008年8月に1ドル110円台だったものが80円台にまでなりました。

今回のウクライナ有事」ですが、円は買われるどころか売られ、昨日のレートは117円で円安にふれています何故なのか。ロシアと日本との関係だと思っています。有事を引き起こしたロシアの隣国が日本であり、プーチンの独断的な強権ぶりがもしかしたら日本に対しても及ぶかもしれないと思っている人もいるということです。

日本ではなく、世界の資金はオーストラリアドルと中国の人民元に流れています。資金というのは、比較的治安が良いところに流れる傾向があります。投資家たちは、その地域の方が日本より安全だと思っているということが分かります。

資金の流れを呼び込むためには、日本は国防を考える必要があるということです。現状は、殆どアメリカ頼みとなっています。国民の意識を高めるところから始まって、憲法を改正して自衛隊について明記をし、核抑止力に対して議論をする時期です。

「非核三原則」や「9条」では、現実の平和構築に何の力も発揮できなくなったというのがロシア侵攻によって明らかになったことです。そういう意味では、一つの分岐点を今過ぎようとしているということです。

(「日本経済新聞」)

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