
「健体康心という言葉を聞いたことがありますか?」

「どういう字を書くのですか? (字を見て)大体の意味は分かります」

「「健康」の語源となった4字熟語ですが、余り知られていません。パソコンに「けんたいこうしん」と入力しても出てきません」

「そうなんですね。「健康」の言葉は誰でも知っていますが、身体がケガや病気をしていないような状況を想定しているような気がします」

「もともとは、精神的な健康を含めた心身のバランスが取れた状態を意味していたのです。それが知らないうちに「心」のケアという観点が抜けてしまったような気がします」

「精神が安定して初めて健康と言えるということですね。ただ、私は健康にまつわる知識をきちんと得ること、そして自分の身体のデータをきちんと把握することが大事だと思っています」

「その知識なんですが、サプリメントの摂り過ぎの人が5人に1人いるそうです。中高年や就業者に多いそうです」

「用心のため飲んでおこうと考えるのでしょうね」

「過ぎたるは何とかで、摂れば良いというものではないそうです。ビタミンAの過剰摂取は肝機能障害を引き起こす恐れがありますし、ビタミンB6は神経障害のリスクがあるとされているそうです。前に、自分でサプリメント人間と言ってましたけど、大丈夫ですか?」

「私は忘れた頃に飲んでみるというタイプなので大丈夫だと思いますが、少し気を付けます」

「ここからが本論です ↓ 表紙は「nagahamakenkou.com」提供です」
「命の管理時代」に入った人類
「健体康心」は、中国の古典『易経』に由来するとされ、心身両面の健康す概念です。身体的な健康(体)と精神的な安定(心)の相互作用を重視し、豊かな人生を送るための基盤となる考え方です。健康体を維持するためには、日頃のケアが重要ですが、正しい知識に基づいたものでなければ意味がありません。2人の会話にあるように、健康のためと思ってサプリメントを摂取目安量以上に服用し、かえって体調を崩す事例もあるそうです。
動物の中で、身体の調子を客観的に把握しようとするのは、唯一人間だけです。他の生き物は本能の赴くままに生きています。ただ、人間が自己点検能力ともいうべき力を持ち始めたのは、つい最近のことです。寿命という言葉があります。「天から授かった命の長さ」というような意味です。授かったものなので、それが短いか長いかは分からない。短くても、それは天によって定められたものなので、甘んじて受けなさいというニュアンスが込められていました。
しかし現代は、「命を天に預ける宿命論」から、「自分の意志で命を管理・デザインする時代」への大きな転換点にあります。医学や公衆衛生の発展により、食事・運動・医療という自己管理(セルフケア)によって健康はコントロール可能な対象になりつつあります。血液検査でデータを取り、客観的に自分の身体の状態を把握できるようになりました。このことは、生物の歴史を考えると、非常に画期的なことと言えます。人類は「命の長さに主体的に関与できる時代」の入り口に立っていると言えるでしょう。

(「abcdrug&pharmacare」)
健康維持のために、「心身の両輪」を効率よく回すことを考える
フランスの人類学者のテイヤール・ド・シャルダンは「人類はまだ若い。自らの内に余力を持っている。そして恐るべき集中の潜在力、すなわち進歩の潜在力を秘めている。いまだ発見されず、捉えられず、生まれず、統合されない膨大な力が隠されている。人類集団はまだ数百万年を生き続けることのできる集団である」と述べています。
現生人類(ホモ・サピエンス)が登場したのは、今から約30万年前と言われています。これだけの期間をかけて、ようやく自分の頭を使って自分の身体の状態や命の長さをコントロールする術を手に入れようとしています。そういう意味で、「自我」に目覚めた青年期のようなもので、これから先の更なる進歩が予想できるというのが、シャルダンの考えです。
人間が自分の身体に関心を持つきっかけは「病」です。病との格闘によって人類は自分の身体の仕組みを少しずつ知るようになります。シャカが「病は善知識(よい教え)である」と言われたそうですが、病は自分の身体の欠点を教えてくれますし、その研究によって病そのものを防ぐ方法も見つけることができます。そういう点で、まさに本質を突いた言葉です。
再びシャルダンですが、ポジティブ(積極的・前向き)に生きることがこれからの人類にとって必要と言います。それが心身の両輪を効率よく回すための秘訣になるからです。そのためには「3つのV」(ビジョン、バイタリティー、ベンチャー)の実践が必要であり、それによって人類は新たな境地に飛躍できると彼は説くのです。

(「隆宣寺@本門佛立宗」)
健康教育の提唱――「3つのV」によるアプローチ
「3つのV」の中で最も重要なものが「ビジョン」です。自分の人生に対して展望を持つことです。自分の個性・特性を踏まえて自分なりの人生計画を立てることです。心理学的にはアイデンティティの確立ですが、それが健康にとっても重要なことなのです。
文科省の考え方は、それとは違います。学習指導要領に書いてあることをまとめると、心身の仕組みや病気の予防についての知識を習得し、それを自分の生活の中に取り入れさせるというものです。要するに、知識習得型の健康教育になっています(下の表)。しかも、健康を維持増進しようとする意欲や態度がどの程度あるのかということも評価の対象になっているのです。健康を肉体面からのみ捉え、子どもたちが抱える「自分とは何か」「どう生きればよいのか」という根源的な問いと健康が結び付けられていません。その結果、自己肯定感が低くなってしまっているのです。
再び「3つのV」ですが、「ビジョン」を持つことができるから、「バイタリティー」が湧き、そして「ベンチャー」、つまり何事にも冒険・挑戦してみようという意欲が湧き、自己肯定感が強くなるのです。日本の子どもは欧米の子どもたちに比べて「自己肯定感」が弱いことはデータとして表れていますが、大元の原因は文科省の教育方針が間違っているためです。発達のメカニズムを踏まえた教育方針が立てられていないからです。

(「ピュア産業看護事務所」)
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