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21世紀の企業の在り方を探る(その1) ―― 高収益企業「キーエンス」に見る「合理性」 / 長寿企業に学ぶ「共同体」としての企業

「若者の転職が増えているそうですが、あなたの会社はどうですか?」

女性

「ウチは規模的にそれ程大きな会社ではありません。少なく採用して、アットホームな感じでみんなで仲良くなるという感じです」

「私が月に1回通っている読者会のサークルがあるのですが、20代の若者から転職をしたという突然の報告があり、驚いたところです」

女性

「転職の理由は何ですか?」

「配置転換を1年間願い出たそうです。それを聞いてくれなかったので、転職を決めたと言っていました」

女性

「その程度と言ったら本人に失礼でしょうが、大した理由でもないのに、結構あっさり辞めてしまう人が増えたことは確かだと思います」

「2009年に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』という本が出て一時話題になりました。その中で、新卒者の3割が3年以内に辞めてしまうとあります」

女性

「その頃と現在を比較して、離職状況はどうですか?」

「大きく変わっていないというのがデータから言えることです。そして、若い優秀な部下ほど早く辞めてしまう、ということを度々耳にします」

女性

「ウチは余り辞めないということは、優秀な方がいないということでしょうか?(笑)」

「何か秘訣でもあれば教えて下さい」

女性

「秘訣はワイワイ仲良くすることです(笑)。ここからが本論です ↓表紙は「株式会社Manequl(マネクル)」提供です」

 働く意味の変容と経営者の責任

20代を対象としたある調査では、働く理由の上位は回答の多い順に「報酬のため」「自己成長のため」「社会のため」でした。「報酬のため」がトップにあるということは、本意ではないが、生活のために働いているという方が多いという現実を示しています。

本来、働くということは、社会で必要な労働の一部を担っていることを意味します。対価を得ている以上、「社会のため」になっているということです。しかし、それが3番目に位置付けられているということは、あまり実感を持って受け止められていないということでしょう

このことは従業員の主体性の問題も勿論ありますが、むしろ重要なのは、企業経営者の側の意識・考え方です。利益さえ出せば良いという発想ではなく、預かった社員を成長させ、できれば企業文化を作るくらいの思いや考えを持って欲しいと思っています。企業とは単なる利益創出装置ではなく、人を育て、社会と接続する媒介であるべきなのです。

(「キャリアパークエージェント」)

 高収益企業に見る「合理性」と人間性の緊張

週刊『新潮』(2026.3.26日号)に「キーエンスの実像」という記事が掲載されていましたキーエンスは、平均年収2,000万円超、売上高1兆円を誇る高収益企業として知られています。この企業は新入社員に対して、ひたすら営業電話をかけさせることを課すそうです。「1日最低150分かけろ」と言われるそうです。アポが取れれば外出できるそうです。外出したいために電話をかけまくるといった話が紹介されています。

「キーエンスでは顧客企業の価値・利益を増大させるために全てが合理化・効率化され、社員は巨大なその『仕組み』の歯車となることを求められる」とのこと。実際に会社説明会では「ワークハード・プレィハード」と説明されるそうです。年収が高いことを誇りにして働くことができる社員にとっては、良い会社と言えるのかもしれませんが、21世紀の時代、働き方改革が言われるような時代でも、このような会社があることを知って少しショックを受けました。それと同時に、チャップリンの「モダンタイムス」のポスターを連想しました。人間を人間として扱わず、組織を機械的に動かす「分子」として考えられてしまっています。

キーエンスの社名は「Key of Science」が由来だそうです。科学的にカギとなる商品を開発するという意味だと思われます。商品開発力に自信があるからこそ、社員に対してある意味「過酷」な要求を課すことが出来るのかもしれません。商品が良いので、インフォメーションに力を尽くせば、必ず売れるはずだし、その分給与も多く払うという考え方です。これは一つの完成されたモデルなのかもしれません。記事の最後は、「『失われた30年』からいまだに脱却できていない数多の日本企業にとって、これほど研究しがいのある会社はあるまい」という文章になっていましたが、問題は、このモデルが人間にとって持続可能なものか、あるいは普遍化し得るものかという点にあるのです。

(「プレジデントオンライン」)

 長寿企業に学ぶ「共同体」としての企業

日本国内には、約330万社の企業が存在しています(2021年調査)。その中で、キーエンスのような企業が標準的存在であるとは考えにくいでしょう。従業員に無理をさせれば、必ずどこかで行き詰ります。そこで、長期にわたって存続している企業に注目したいと思います。

日本には100年、200年という歴史を刻んでいる企業もあります。地域に根差し、従業員本位の経営を心掛けなければ、それだけ長く存続できないと思います。規模が大きいことに目が奪われがちですが、長く企業活動をしていることに、もう少し注目をしても良いと思います。100年以上の続く企業が約4万6,000社あります。最古の企業は578年創業の金剛組という建設会社です。どのような会社なのか。インターネットで検索すると、飛鳥時代の578年に聖徳太子が四天王寺建立のために百済から招いた金剛重光によって創業されたとのことです。宮大工の技術を継承し、釘を使わない「木組み」などの伝統工法を今に伝えているとのことです。

金剛組には「匠会(たくみかい)」と呼ばれる、約100名の専属宮大工が所属する組織があり、徒弟制度によって技術と精神が継承されています。採用は高卒以上20歳未満の若者を主な対象としており、各組の棟梁(親方)が弟子をとり、その弟子を生涯かけて面倒を見るという関係性は、単なる雇用契約を超えた「共同体的結合」です。相撲部屋のようなシステムだと思われます。そのような強い絆が千年以上という長きにわたって組織を支えてきたと思われます。

「不易流行」という言葉があります。我々はともすると時代の流れの中で、光り輝くものを追い求めがちですが、組織にとって何が大切なのか、立ち止まって考える時代です。企業も人と人との信頼、技術の継承、そして長期的な時間軸の中での価値創造によって成り立つものです。21世紀の企業が目指すべき方向の一つとして、「共同体性」の追究があると思っています。

(「We love 大阪」)

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