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国債市場のオープン化を求める ―― 新聞が報じない閉鎖された国債市場の問題点 / 2,300兆円の個人金融資産を国債市場へ

女性

「前回のブログで国債のことをおっしゃっていました。国債は政府にとっては債務だが、金融機関や投資家にとっては利子を生む金融資産と言われて、成る程と思いました」

「国債は国の借金という「宣伝」がかなり浸透しているため、悪者扱いされているところがあります」

女性

「考えてみれば、元本保証の金融資産ですよね」

「前回このブログでも書きましたが、国債市場をもっとオープンにして、国民が国債を手軽に買えるようにすれば良いと思っています。例えば、アメリカはスマホのアプリからアメリカ国債を購入できます」

女性

「日本だと銀行に行かないと駄目ですよね」

「そうですね。書類を書いて、国債を購入する口座を作ってから購入します」

女性

「面倒くさ! その差は何ですか?」

「要するに、担当する財務省に問題意識がないということです」

女性

「どうやって売ろうかなと考えれば、様々なアイデアが思い浮かぶはずですものね」

「国債残高が膨らんでいると騒いでいる割には、国債市場は閉鎖的なままです」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙は「ニューズウィーク」提供です」

 国債市場はどのような仕組みなのか

国債市場を理解する上で最も重要な原則は、「国債の価格」と「金利(利回り)」はシーソーのように逆の動きをするということです。具体的な数字を使って説明したいと思います。額面100円、毎年1円の利息(利率1%)がもらえる国債があるとします。市場価格が「110円」に値上がりした場合、投資としての「利回り」は1%より低く(低下)なります。逆に、市場価格が「90円」に値下がりした場合、90円に対して1円の利息なので「利回り」は1%より高く(上昇)なります。「価格」と「金利」は逆の動きというのは、そのような意味です。

国債市場とは、国が資金調達のために発行する債券(国債)が取引される市場のことです。中央銀行の金融政策や金利見通し、経済の先行きを映し出すため、「金融市場の羅針盤」とも呼ばれる極めて重要な市場です。ただ、その市場は、国債を新たに発行し、入札によって発行価格や市場実勢を反映した利回りが形成される「発行市場」と、発行された国債が売買される「流通市場」に分かれています。

市場と言っても、株式市場のように取引所に注文を集中させる方式ではなく、証券会社や銀行などが相対で売買する店頭取引(OTC)が中心です。その際の指標として使われるのが、「新発10年物国債(長期金利)」の利回りです今日(9/1)の昼に「長期金利」が2.99%と30年ぶりの高水準となったというニュースが流れました。「長期金利」は、私たちの日常生活や経済全体に直結しています。長期金利が上がると、住宅ローンの固定金利や、企業が銀行から長期の資金を借り入れる際の金利が上昇したりして、私たちの生活に影響を与えます。また、国債の金利が上がると、リスクの高い株式から国債へ資金がシフトしやすく、株価の下落要因にもなります。


(「オールアバウト」)

 「金利のある時代」に問われる国債市場の仕組み

国債市場(特に国が国債を発行する「発行市場」や、金融機関同士が売買する「ディーラー間市場」)で発行金利や価格が決定されます。ちょうど9/1日の今日が10年債の入札日です。11:50に締め切られ、12:35ころに結果が公表されました。アメリカは、ほんの数分で決まります。アメリカのプライマリー・ディーラーや一般個人(TreasuryDirect)からの入札データは、すべて財務省の超高速システムに電子的に集約されます。締め切りの時間になった瞬間、システムが瞬時に金利の低い順から並び替え、落札者を一瞬で決定するのです。そのように米国では個人が政府のシステムから直接入札できるのに対して、日本では金融機関を介する仕組みになっています。市場アクセスの違いが、時間差に現れるのです。

日本の国債発行制度ですが、かつては銀行、証券会社、信用金庫、保険会社などで構成する「国債募集引受団(シ団)」が存在し、構成員ごとの引受シェアがあらかじめ固定される仕組みが採られていました。それは2006年に廃止され、アメリカに倣った「プライマリー・ディーラー制度」と言って市場原理を重視した入札方式へ移行しましたが、現在の制度がデジタル時代に最適な仕組みなのかは改めて検証する必要があります。

財務省はデジタル化を進める考えは、今のところないようです。入札から結果公表までの時間が長ければ、それだけ市場価格が変動する余地も生じます。デジタル技術が進歩した現在、処理時間を短縮できないのか検討する余地があるでしょう。

(「47NEWS」)

 国債市場を「国民に開かれた市場」へ

国債の入札に参加できるのは財務省が定める資格を持つ金融機関などに限られ、その中でも一定の責任と資格を課された「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」が中核的な役割を担っています。金利を設定しなければいけないので、ある程度のメンバーに限定した方が合理的であることは確かです。しかし、一旦落札価格が決まった後は、その相場で誰でも自由に国債を取引できるようなオープンな市場が望ましいと思っていますが、日本はそうはなってはいません。それに対して、2人の会話にあるように、アメリカでは、個人でもTreasuryDirectという財務省の電子システムを通じて、金融機関を介さず米国債の非競争入札に直接参加できます。

地方銀行や信用金庫、信用組合は、メガバンクや大手証券会社などの「市場メンバー」か、あるいはそれぞれの「中央機関」(全国地方銀行協会や信金中央金庫など)を通じて、国債を共同購入しています。日本では金融機関の規模や形態によって制度的なグラデーションが存在しているのです。中小の金融機関は大手にマージンを払って購入するしか方法がありません。差別とは言いませんが、入札価格が決まった後の流通市場における参入者の取扱いは対等にする必要があると思っています。

各省庁からの概算要求がほぼ出揃いました。今年度も多額の国債を発行することになることは確実です。国民の金融資産が約2,300兆円あります。この莫大な資産が国債市場に容易に参入できるような仕組みを考える必要があります。自民党の神田潤一氏は「日本銀行が国債保有残高を段階的に減らす中、安定的な保有主体を増やす必要性が高まっている。この点で、債券保有比率が極めて低い家計部門には大きな潜在余地がある」(「東洋経済オンライン」)と言います。アメリカでは、個人が国債を購入した場合、その利息に対して連邦税はかかりますが地方税は免除となります。日本も「国債向けNISA」とでも呼ぶべき税制優遇や、日本版TreasuryDirectをつくるといった何らかの工夫が必要だと思われます。

幸か不幸か、日本は「金利のある世界」に完全に戻りつつあります。日銀が国債保有を段階的に減らしていく以上、これまで日銀が担ってきた巨大な国債保有を、今後誰が引き受けていくのかという問題は避けて通れません。金融機関だけでなく、家計や海外投資家を含め、国債の安定的な保有主体を広げる必要があります。

その意味で、いま問われているのは単なる「国債の売り方」の改革ではありません。発行・流通・個人保有までを一体として捉え、日本の国債市場そのものを「金利のある時代」に合わせて再設計することではないでしょうか。日本でも個人や地域金融機関は国債を購入できます。しかし、金融機関を仲介者とする制度設計になっていて、米国のTreasuryDirectのように政府と家計を直接つなぐ仕組みがありません。日銀が国債保有を縮小する構想だからこそ、家計の金融資産を国債市場につなぐ新しいシステムを考えるべきではないでしょうか

(「日本経済新聞」)

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