
「消費税1%にするという話は、どうなったのですか?」

「食料品関係だけに限っての1%消費税という話ですね。一言で言えば、出だしから難渋しています」

「主婦としては、ぜひ早く実施して欲しいと思っています。何が問題なのですか?」

「というか、野党も、新聞マスコミも、反対を表明していて今は四面楚歌のような状況です」

「新聞各紙が一斉に反対というのは、意外な感じがします。少なくとも、『産経』あたりは賛成にまわるかなと思ったのですが……。反対理由は何ですか?」

「主な理由は財源論です。後は、現場での対応が大変だという理由を挙げて一様に懸念を表明しています」

「肝心の財源ですが、本当にないのですか?」

「マスコミはあまり報道しませんが財源はあります。そもそも、2025年度の国の一般会計税収は、前年度から約9兆円増加して過去最高の84.2兆円程度となったのです。この9兆円は国民から余分にとった税収なので、これが財源となります」

「9兆円で足りるのですか?」

「仮に食料品の消費税率を現在の8%から1%へ2年間限定で引き下げた場合、国と地方合わせて8.6~8.8兆円の税収がなくなる計算です。なので、9兆円で足ります」

「ここからが本論です ↓表紙写真は「ベリーベスト税理士事務所」提供です」
新聞社は財務省の別動隊なのか
安倍晋三元首相は『回顧録』の中で、財務省は自分たちが気に入らない政権に対して、マスコミを大動員して倒しにかかると言っています。それが始まったということです。新聞については、8%の特例税率が適用されています。あめ玉をしゃぶらせてもらっているので、財務省側に立った発信をしているとは思いたくありませんが、この問題について見事なくらい論調を揃えています。
特に産経新聞社ですが、新聞は反対ですが、月刊誌の『正論』では、食料品消費税1%を賛成しています(下の表)。社内での統一意見というのは、ないのかと思ってしまいます。やはり、8%の特例税率が大きな影響を与えていると勘繰らざるを得ません。
| 『産経新聞』 | 「食品消費税1% 減税判断の妥当性どこに 財源確保の具体策が必要だ」(「社説」2026.7.31) |
| 『正論』 | 高市首相が掲げる消費税1%への減税案を、積極財政と選挙公約の遵守の観点から高く評価し支持しています。物価高対策と経済成長を最優先すべきであり、財政規律を理由とした反対論を「経済オンチ」と批判しています |
消費税1%導入反対の大きな論拠となっている財源ですが、これは2人の会話にもあるように、2025年度の税収は前年度比で9兆円増加しています。これにより6年連続で過去最高を更新しています。2024年度は、約1.8兆円の上振れが生じています。物価高や企業の業績アップといったことが原因とされていますが、これだけでも11兆円くらいの財源があることが分かります。言い換えれば、国民からこの間、当初の予定より11兆円も余分に税金を取っていたということです。消費税率を下げてそれを還元するという提案が今回なされたということです。

(「You Tube」)
「生活苦」世帯が過半という現実
厚生労働省が2025年の国民生活基礎調査の結果を公表しました。この調査は、3年ごとに公表しているものです。その調査によると「生活が苦しい」と答えた世帯が55.4%に達し、2世帯に1世帯以上が生活の重圧を感じている状況です。その内訳を見ると、母子世帯では82.1%、児童のいる世帯では61.5%、高齢者世帯では52.1%にのぼります。子育て世帯から、高齢者世帯まで幅広い世帯で生活不安が広がっていることが分かります。
貧困の状況も、その深刻さが浮き彫りになりました。相対的貧困率が15.0%、子供の貧困率が11.0%、ひとり親世帯では44.7%となりました。相対的貧困率というのは、その国や地域の生活水準(真ん中の所得)と比較して、その「半分未満」の所得で暮らしている人の割合です。食べ物すら手に入らない餓死に直面するような「絶対的貧困」とは異なり、「その社会で普通、当たり前とされる生活(医療、教育、食事、体験など)を送るのが困難な格差の状態」を指します。そして、その「相対的貧困率」の基準にあてはまる家庭で暮らしている17歳以下の子どもの割合が子供の貧困率になります。つまり、日本のおよそ9人に1人の子どもが、相対的貧困の家庭で暮らしていることを意味します。
そして、子どもの貧困を考える上で最も大きな問題は、ひとり親世帯の貧困率ですが、44.7%という数字は先進国の中でも非常に高い水準です。子どもの貧困率は教育や成長に必要な環境が不足しがちになることを意味しています。夏休みの給食がない期間に体重を減らす子供が出たり、学力格差が生じたりということが起きる原因にもなっています。こういった状況を少しでも改善するためにも、消費税1%導入は欠かせないと思います。
(この項の参考記事「大機小機」『日経』2026.7.30日付)

(「データ」)
消費税減税を選挙公約にした政党が消費減税に反対している
2026年2月の衆議院選挙において、各政党が掲げた消費税(減税・廃止)および現金給付・負担軽減に関する主要な経済公約について一覧にしてみました。表を見て頂ければ分かりますが、どの政党も消費税減税を唱えていました。中には、消費税0%を主張していた政党もあったのです。ところが、2027年4月から2年間限定で現行の8%から1%に下げる意向が高市首相から示されると、野党の多くが反対にまわり、賛成表明したのは保守党だけという有様です。
| 政党名 | 消費税に関する公約 | 給付・その他の負担軽減公約 | |
| 自民党 | 飲食料品の消費税率を2年間限定でゼロにする方向で検討を加速 | 「給付付き税額控除」の制度設計を進める | |
| 維新 | 飲食料品の消費税を2年間限定でゼロにする | 所得の低い層への「給付付き税額控除」の制度設計、現役世代の社会保険料軽減。 | |
| 中道改革連合 | 食料品の消費税率を恒久的にゼロ | 税の払い戻しや手取りを増やす仕組みを提案 | |
| 国民民主 | 一律5%へ引き下げ | 「社会保険料還付制度」の創設 | |
| 参政党 | 消費税の段階的廃止 | 0〜15歳の子ども1人あたり月10万円の「教育給付金」支給 | |
| 共産党 | 消費税廃止を目指し、ただちに5%に | ||
| 保守党 | 食料品の消費税を恒久的にゼロにする | ||
| 社民党、れいわ | 消費税率をゼロ | ||
政治の原点は弱者救済にあるはずです。実際に困っている世帯の数が多く、その人たちの救済に少しでも役に立つ政策ならば、それがたとえ与党からの提案だとしても賛成して協力の態度を取るのが政党人としての正しいあり方だと思っています。
先の選挙で減税を唱えていた野党ですが、高市首相の「2年限定・1%」という具体的な実施条件が提示されると、「自分たちの理想(5%化や恒久ゼロ)とあまりにかけ離れている」「現場に二度手間の混乱を強いるだけだ」という屁理屈を言い出しています。そして、野党のほぼ全ての勢力が反対に回るというねじれ現象が起きているのです。下のポスターは岸田政権下の各党の消費税に対する態度です。この時は「時限的な対応も含めて」消費税の減税に賛成していたのです。
したの
(「BuzzFeed」)
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