
「6/20の講演会を意識したこともあって、この間、少子化問題に絞って意見を発信してきました」

「講演会お疲れ様でした。その間に、日経平均が大変なことになっています。円安も進んでいます」

「久しぶりに経済問題について語りましょうか。日経平均7万2千円の最高値をつけました。ここまで上がるとは誰も思っていなかったでしょうね」

「イランとアメリカ、そしてイスラエルとの戦闘があったのに、なぜ、上がったのですか? 」

「実は株式の世界では、紛争・戦争は「買い」なんです」

「えっ、そうなんですか?」

「事態の緊張が高まり、先行き不安感から一旦下がるのですが、ある程度の事態の目安がつくと買い戻しの動きが出て、合意にこぎつけると安心感から全面高になるというのが一つのパターンなんです」

「ということは、今回はセオリー通りの動きをしたということですね。この後は、どうなるのですか?」

「株は株価に聞けと言われています。経済は生き物なので、一寸先は闇の世界です。どっちに転ぶか分かりませんが、上がるピッチが早過ぎるので、用心しなければいけないのは確かでしょうね」

「ここからが本論です ↓表紙は「Manegy」提供です」
「戦争と株高」のメカニズム――市場が織り込む復興需要とAI期待
過去の歴史(湾岸戦争やイラク戦争など)でも、「空襲のサイレンで買い、凱歌のラッパで売れ」と言われるように、実際の戦闘が終了に向かう局面で大きく株価が上昇する傾向があります。金融の世界で「ウォー・パズル(War Puzzle:戦争の謎)」、あるいは相場格言の「砲声(大砲の音)で買え」として知られる有名な現象です。今回も、まさにその教科書通りの値動きとなりました。「なぜ、戦乱なのに経済指標が上がるのか」と疑問を持つ人がいるかもしれません。市場が将来の復興需要や経済活動の回復を相場に織り込むからです。
その理屈は、戦後の経済復興を考えれば分かると思います。都会の多くが焼け野原になったため、誰もが家を建て、家財道具を揃え、衣服など身の回りの品を揃えようとします。そういった類のものは作ればすぐに売れるような状況が生み出されました。皮肉にも、経済にとって、これ程良い環境はないのです。実際に、日本経済は戦後需要と朝鮮特需によって完全に息を吹き返しました。戦後の経済復興を奇跡と表現する人がいますが、経済学的に考えれば、奇跡でも何でもないのです。
今回の株式相場を引き上げたのがAI関連銘柄でした。今回の戦闘を通して、ピンポイントで狙いを定めて精密兵器で攻撃をするという現代戦の特徴をまざまざと世界に見せつけたと思います。その背後には膨大な情報収集能力と分析があり、それに対応できる先進的な機器や兵器が開発され、AI技術が不可欠な役割を果たしています。投資家の多くがAIの将来性を再認識したため、関連銘柄に資金が流入したのでしょう。株式市場は将来を先取りする世界です。AI需要の拡大を見越して株価が上がっているのです。

(「TBS NEWS DIG-TBSテレビ」)
「遠くの戦争は買い」の法則――市場心理が映し出す国際情勢
戦争に巻き込まれて多くの人が悲しみの涙を流しているのに、それを横目に株価が上がるのは理不尽のように思えますが、戦争に対する恐怖を多くの人が感じれば感じるほど、実は株価は上がってしまう傾向があります。特に、今回の戦闘でホルムズ海峡が大きな焦点になっています。もし閉鎖されれば、世界経済に深刻な影響を与えるため、否が応でも、戦闘の行方に誰もが注目をせざるを得ません。そんなこともあり、日本はもとより、世界のトップニュースで扱われているのは、そのためです。
トランプは実業家出身の大統領です。自身も多くの株式を保有しているので、そのメカニズムを熟知しているはずです。そのため、一部には「株価を意識した外交戦略ではないか」と見る向きもあるのです。それはさておき、相場格言には「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」という言葉があります。自国や主要な取引国が直接戦火に包まれる(または国土が破壊される)場合は、企業の生産設備が失われるため、株価は容赦なく大幅に下落します。しかし、今回の主戦場は遠いため、日本もアメリカもAI関連需要、軍事関連需要を意識して相場は上がり続けているのです。
アメリカ・イスラエルとイランの武力衝突は今年の2月28日から始まっています。日経平均はそれから下落し、3月31日には約5万1千円となりました。1か月で7,786円、率にして13.2%の下落でした。しかし、そこから反転して4月27日は6万円を突破(終値:6万537円)し、さらに6月16日には7万円を突破し、昨日(6/22)の終値は7万2,353円でした。わずか2ヶ月未満で1万円以上の上昇となったのです。

(「トウシル」)
円安が映し出す日本の課題――少子化と経済基盤の弱体化
そのように株価が上昇する一方で、円安が進行しています。1時1ドル=161円台後半まで落ちる場面もありました。その後は、為替介入への警戒感もあり、少し値を戻しましたが円安基調は変わっていません。片山財務大臣は「投機的な動きがあれば断固とした措置をとる」ということで市場を牽制しました。
しかし、この円安基調はこれからも続くと見ています。為替相場は金利差ということも影響を受けますが、基本的には両国の経済力の反映だからです。つまり、日本の経済力が向上しない限り、円安は継続的に進行するということです。
過去を振り返ると、2017年~2019年の3年間は110円~114円台で推移した安定期だったと言えます。2021年も110円台を中心に推移しました。ところが、2022年以降、アメリカの利上げもあって急速に円安トレンドが始まり、現在に至っています。「アメリカの利上げが円安の原因」と説明することがありますが、経済力が強くなければ金利を上げることは出来ません。要するに、ここに来て日米の経済力の差が鮮明になってきたということです。
そして最後は少子化・人口減に話が戻ってしまうのですが、国家そのものが弱体化しています。高市総理は「強い経済」と言いますが、経済だけが単独で強くなることはありません。日銀は6月16日に政策金利を1.0%程度引き上げましたが、これは円安を何とか止めたいという願いを込めた“背伸び”の利上げです。日本は金利を上げられるような経済状況ではないからです。経済のフアンダメンタルズをしっかり立て直すこと、その中には少子化対策や人口政策も含まれます。国家の総合的な政策を遂行するビジョンがなければ、円安は継続的に続いていく可能性が高いでしょう。

(「日テレNEWS NNN-日本テレビ」)
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